【ブラック企業の特徴】社員を形式上の「個人事業主」に転換させる

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【ブラック企業の特徴】社員を形式上の「個人事業主」に転換させる

働き方改革」が進められ、政府・各企業で様々な労働力不足の対策が行われています。その一つに、「個人事業主化」という新たな働き方を取り入れている企業があります。

広告代理店大手の電通は、2021年1月から一部の正社員を対象に、「個人事業主化」する制度を進めています。

会社が、個人事業主化を進める理由としては、モチベーション向上コスト削減です。個人事業主に転換する社員も、自由度の高い働き方が手に入れるなど、双方にメリットがあるように見えます。

会社側のメリット・デメリットについては、こちらの記事を確認して下さい。

正社員と個人事業主、それぞれのメリット・デメリットを理解し、本人の意思で働き方を選択できるのであれば、問題はありません。しかし、ブラック企業では、働き方は変えずに、契約のみを雇用契約から「業務委託契約」に切り替えて、人件費を削減しようとします。

そのような形式上のみの業務委託契約は、「偽装請負」といい、そのケースによってどの法律に違反するかが異なります。(労働者派遣法、職業安定法、労働基準法)

偽装請負とは
書類上、形式的には請負(委託)契約であるが、実態としては雇用契約(労働者)であるものです。

今後、働いている会社で「個人事業主化」制度が導入され、あたなも社員との選択を迫られるかもしれません。実際に社員から個人事業主になると、どのようなメリット・デメリットがあるのかを確認します。

社員から個人事業主になるメリット

働く時間の融通が利く

会社員であれば、会社の就業規則に従い出退勤します。個人事業主は、働く時間や休みも自分の都合で決めることができ、自由度の高い働き方ができます。

働く場所は自分で選べる

総合職の会社員であれば、全国転勤の可能性があり、辞令が出れば従う必要があります。個人事業主は、自分が選んだ場所で開業、働くことができます。会社員のように、転勤や通勤のストレスを感じることは、少ないでしょう。

「自分の好きなこと」を仕事にできる

会社員であれば、嫌な仕事や苦手な仕事も、会社や上司の命令に従わなければなりません。個人事業主は、自分の好きなことや、得意なことを仕事にできます。

能力次第で収入がアップする

会社員の場合、実力や成果のみで評価されず、努力しても簡単に収入が増えません。個人事業主の場合、個人の能力や努力次第で稼げる収入は増やせます。仕事量をコントロールできるのも、魅力的だといえます。

ブラック企業の個人事業主化

ブラックな色々やっている会社
営業部 新卒 チャッピー
免許は持っているが、ペーパードライバー。

ブラックな色々やっている会社
営業部長 M
いまさらテイクアウトを始めようとしている。

M部長

当社は、コロナ禍の巣ごもり需要を取り込むため、飲食店のテイクアウトのデリバリーをスタートする!その名も、オンラインフードデリバリー事業部!

チャッピー

もう第6波とか言ってるのに、今さら感が半端ない…もう巣ごもっていない!

M部長

フードデリバリーの会社といえば、個人事業主でやっているから、お前も同じ状況でスタートしてもらう。つまり明日から個人事業主で、フードデリバリーをやれ!

チャッピー

滅茶苦茶言うな…でも個人事業主になったら、出退勤の時間は自由でできるかな?

チャッピーは、会社を退職してフードデリバリーの個人事業主としてスタートした。

M部長

おい下請け!注文入っているぞ。他の配達員がいないから、お前が遅いと客を待たせてるじゃないか!

チャッピー

えーっと…すごい指示出してくるし、そもそもペーパードライバーだから、配達とかしたくないし…変わらずブラック社員のまま?

ブラック企業では、労働基準法の適用を免れるために、社員から個人事業主へ転換を図ります。その先には自由な時間、好きな仕事も無く、どれだけ頑張っても社員の収入を超えることはありません。

社員から個人事業主になるデメリット

収入が安定しない

会社員は、時間の自由度が低い代わりに、毎月安定した給料を受け取ることができます。個人事業主は、能力や努力次第で大きく収入をアップする可能性はありますが、仕事が無い場合は何の保証もありません

社会的な信用度が低い

事業をしていく上で、大変なことが「資金繰り」です。法人に比べて金融機関からの融資を受けにくく、住宅や車のようなローンも会社員に比べると通りにくいです。

また新規で取引をしていく上でも、法人と個人事業主では、信用度が大きく違うため、何か大きなセールスポイントがないと厳しいでしょう。

社会保険料の負担が増える

会社員は、健康保険と厚生年金、個人事業主は、国民健康保険と国民年金、加入できる社会保険が異なります。会社員が加入できる社会保険(健康保険・厚生年金)は、会社が保険料の半分を負担してくれるため、負担が少なくて済みます。

また、所得や家族構成によっても保険料は変わりますが、個人事業主が加入できる国民健康保険と国民年金は、家族が増えた分保険料が増える仕組みになっています。

確定申告をしなければならない

会社員の税金は、会社が給与から天引きして、納付してくれます。個人事業主は、自分で確定申告をする必要がありますので、正しい申告をするために知識を得て、手続きをしなければなりません。

労働基準法の適用(保護)を受ける、労働者の定義も確認しましょう。

社員の「個人事業主化」制度 まとめ

  • 自由度の高い働き方、好きな仕事ができるが、会社員に比べ信用度が低い
  • 能力や努力次第で収入アップを狙えるが、仕事が無いとき補償が無く収入は不安定
  • ブラック企業は、形式的のみ委託契約で、実態としては雇用契約の偽装請負をして法律の適用を免れる
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