妊娠・出産・保育に有害な業務をさせてはならない「危険有害業務制限」

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妊娠・出産・保育に有害な業務をさせてはならない「危険有害業務制限」

近年、妊娠・出産・育児と仕事を両立しながら働く女性は増えています。女性が働きながら、妊娠・出産・育児をしていくには、心身共に大きな負担がかかりますが、社会・職場での理解・協力が得られにくい状況がまだあります。そのため、使用者には、男女雇用機会均等法や、労働基準法64条~66条で母子の健康を守る、様々な措置を講ずる義務が定められています。

男女雇用機会均等法とは

使用者が労働者を雇い入れから、雇用においてのあらゆる場面で性別を理由にした差別を禁止する法律です。具体的には、次の項目に対して差別的扱いをしてはいけないと定められています。

  • 募集 
  • 採用 
  • 配置 
  • 昇進 
  • 降格 
  • 教育訓練等 
  • 福利厚生
  • 職種や雇用形態の変更 
  • 退職の勧奨・定年 
  • 解雇 
  • 労働契約の更新について

ブラック企業の常識「妊産婦に有害な職場」

M部長

妊婦の労働者とか使いにくいな…なんか言ったらマタハラって言ってくるし。辞めてくれないかなー

アムロちゃん

つわりが始まって、臭いで気分が悪くなる時がある…なにっ?この臭い!

イワオ

1カ月ぶりに地下王国から地上へ!毎日20時間穴を掘り続けから泥まみれた!

アムロちゃん

悪臭が無差別テロ級!死にそうなので帰ります!

M部長

ほとんど風呂に入っていないイワオの体臭は、危険有毒ガス!健康体の私でも応えるっ!

スメルハラスメント

職場で体臭などのニオイで周りの人に不快な思いをさせてしまう、ニオイに関するハラスメントを「スメルハラスメント」といいます。ニオイの原因を悪意で生じさせているわけではないので、デリケートな問題にもなりがちです。

「妊産婦の危険有害業務の制限」法64条の3 条文解説

1項 妊産婦の危険有害業務の制限

使用者は、妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺ほ育等に有害な業務に就かせてはならない。

出典:労働基準法 | e-Gov法令検索

(条文解説)
妊娠中、産後1年未満の女性(妊産婦)への、母体・胎児保護のための就業制限です。

以下の業務は、妊産婦への就業が禁止されている業務です。

  • 重量物を取り扱う業務
  • 有害ガスを発散する場所での業務
    化学物質を取り扱ったり、化学物質を含む製品を製造したりする施設・工場などでの仕事
  • その他妊娠、出産、哺育等に有害な業務

哺育(ほいく)とは
親が子に乳・食物などを与えて、保護し育てること。

重量物を取り扱う業務については、具体的な制限の重量が示されています。

これ以上の重量物を取り扱う業務は、妊産婦、一般の女性労働者の区別なく禁止されています。

2項 危険有害業務の制限の準用

前項の規定は、同項に規定する業務のうち女性の妊娠又は出産に係る機能に有害である業務につき、厚生労働省令で、妊産婦以外の女性に関して、準用することができる。

(条文解説)
第1項で、妊産婦への就業が禁止されている業務の中で、女性の妊娠・出産機能に悪影響を及ぼす恐れのある、有害な業務については、妊産婦以外の女性労働者も就業が禁止されます。

準用するとは
ある事項に関する規定を、他の類似の事項に必要な変更を加えて当てはめること。

3項 妊産婦の危険有害業務の範囲

前二項に規定する業務の範囲及びこれらの規定によりこれらの業務に就かせてはならない者の範囲は、厚生労働省令で定める

(条文解説)
第1、2項の危険有害業務の具体的な業務は、厚生労働省令の女性労働基準規則の中で、定められています。
表中の妊婦は妊娠中、産婦は産後1年を経過しない女性、その他は妊産婦以外の女性労働者です。

「妊産婦の危険有害業務の制限」法64条の3 まとめ

  • 母体・胎児保護のため、妊産婦へは重量物を取り扱う業務など就業が制限されている
  • 妊産婦以外の女性労働者についても、妊娠・出産に悪影響を及ぼす恐れのある、有害な業務が禁止されている
  • 妊婦、産後1年を経過しない女性、それ以外の女性労働者で制限される業務が異なり、女性労働基準規則に定められている
卍室長

会社は妊産婦の健康に配慮しなければならない「就業環境整備義務」を負っています。ブラック企業では通常の業務自体が、妊産婦の健康に影響を及ぼす恐れがあります。女性労働者が業務軽減を求めた場合には、業務軽減の措置を取る必要があります。

「妊産婦の危険有害業務の制限」法64条の3 社労士試験過去問と解説

条文の内容を社労士試験過去問で復習します。過去の判例や事例を学ぶことで実務でも役立ちます。
答えは解答・解説を見る」 ▼を押して確認してください。

H23年出題 就業制限:ボイラー

妊娠中の女性を労働安全衛生法施行令第1条第3号のボイラーの取扱いの業務に就かせてはならないが、産後1年を経過しない女性がその業務に従事しない旨を使用者に申し出ていないときには同号のボイラーの取扱いの業務に就かせることができる。

出典:社労士過去問ランド

ボイラーとは
工場・ビル・デパート・マンション・病院・ホテルなどの建物に熱源として利用される装置。容器内に水又は熱媒(特殊な油など)を入れ、これを火気や電気などで加熱し、蒸気や温水を他に供給する装置のことです。

R2年出題 就業制限:重量物

使用者は、女性を、30キログラム以上の重量物を取り扱う業務に就かせてはならない。

R2年出題 就業制限:さく岩機

使用者は、女性を、さく岩機、鋲打機等身体に著しい振動を与える機械器具を用いて行う業務に就かせてはならない。

R2年出題 就業制限:クレーン

使用者は、妊娠中の女性を、つり上げ荷重が5トン以上のクレーンの運転の業務に就かせてはならない。

R2年出題 就業制限:高所

使用者は、産後1年を経過しない(労働基準法第65条による休業期間を除く。)女性を、高さが5メートル以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務に就かせてもよい。

R2年出題 就業制限:土木建築機

使用者は、産後1年を経過しない女性が、動力により駆動される土木建築用機械の運転の業務に従事しない旨を使用者に申し出た場合、その女性を当該業務に就かせてはならない。

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