未成年者を雇用する際のルール「法58条労働契約」「法59条賃金」

未成年者とは、民法で満20歳に達しない者と定義されていますが、2022年4月から満18歳に引き下げられます。成年に達すると、親の同意を得ずに様々な契約ができるようになります。成年年齢引き下げにより、変わること・変わらないことを確認していく必要があります。
労働基準法58条と59条は、未成年者の労働契約、賃金についての条文です。成年年齢引き下げにより、未成年者の適用範囲が変わりますので、雇用する際は気を付けましょう。




ブラック企業の常識「毒親には関わらない」






親でも給料は代わりに受け取れないから、本人が取りに来てくださいね。






わかりました、それでは後ほど取りに行きます。






こんにちわー!「勇者もょもと」です。給料取りにきましたー






もう少しばれないように来てもらっていいですか…時間を空けるとか…受け取り署名も「戦士おるてが」って書いてますね。関わりたくない親子だ…






本人が取りに行ってほしいと言っているのに何が駄目なんだよ!明日は新台入れ替えなんだよ!






まともな親なら、だまされたふりして渡してもいいと思ったけど、明らかに給料をピンハネするよな…
「未成年者の労働契約」法58条 条文解説




1項 未成年者の労働契約
親権者又は後見人は、未成年者に代つて労働契約を締結してはならない。
出典:労働基準法 | e-Gov法令検索
(条文解説)
親や後見人が未成年者に代わって、労働契約の手続きをしてはいけません。親権者の死亡などによって、親権を行う人がいない場合には、父母の代わりに後見人を指します。親や後見人の同意を得て、未成年者本人が手続きを行います。
後見人には、成人後見人と未成年後見人の2種類がありますが、この条文では未成年後見人を指します。
2項 未成年者の労働契約の解除
親権者若しくは後見人又は行政官庁は、労働契約が未成年者に不利であると認める場合においては、将来に向つてこれを解除することができる。
(条文解説)
未成年者が締結した労働契約が、不利であると認められた場合には、親や後見人、労働基準監督署合は、その労働契約を解除することができます。入社時の労働契約締結はできませんが、過重労働などから保護する目的で、退職時については、親などが労働契約の解除を行うことができます。
「未成年者の賃金」法59条 条文解説




未成年者の賃金
未成年者は、独立して賃金を請求することができる。親権者又は後見人は、未成年者の賃金を代つて受け取つてはならない。
(条文解説)
法24条の賃金・直接払いの原則は、使用者への規定となります。法59条は、子供を働かせて、親がその賃金を取り上げるということを防ぐため、親が代わりに賃金を受け取ってはいけないという規定です。
「未成年者の労働契約」58条「未成年者の賃金」59条 まとめ
- 未成年者とは、民法で満20歳に達しない者と定められているが、法改正により2022年4月から満18歳に引き下げられる
- 親や後見人が未成年者に代わって、労働契約を締結してはならないが、不利な場合など労働契約の解除はできる
- 親や後見人が未成年者に代わって、賃金を受け取ってはならない






労働契約については「児童」のみ、親権者の同意書が必要です。しかし民法上では、「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。」との規定があるため、未成年者であっても同意書を得ていた方が、トラブル防止のためにも無難です。
「未成年者の賃金」59条 社労士試験過去問と解説
条文の内容を社労士試験過去問で復習します。過去の判例や事例を学ぶことで実務でも役立ちます。
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H20年出題 未成年者の賃金請求
賃金は、直接労働者に、支払わなければならないが、未成年者の親権者又は後見人は、その賃金を代わって受け取ることができる。
出典:社労士過去問ランド