「年少者の証明書」満18歳未満を雇用したら年齢証明書の備付が必要

最近では、人手不足が深刻な業種・企業も多く、高校生など未成年も積極的に雇い入れる会社も増えてきています。労働基準法では、未成年を雇用する場合に雇用できる最低年齢、労働時間、就業できない仕事などさまざまな規制があります。
年少者を働かせるには証明書がいる




その中の一つに、年少者を使用する事業場(会社)では、「年少者の年齢を証明する書面の備え付けを使用者の義務とする」というものがあります。高校生などを採用する場合には、注意が必要です。




条文では次のように記されています。
1項 年少者の証明書
使用者は、満十八才に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない。
出典:労働基準法 | e-Gov法令検索
18歳未満の労働者(年少者)を働かせる会社は、年齢を証明する戸籍証明書(住民票の写し)を備え付けなければなりません。証明書は、住民票記載事項証明書等など、公的な書類であることが望ましいとされており、本人の自己申告のみで年齢を確認するだけではいけません。
住民票記載事項証明書は、氏名・生年月日が確認できますので、戸籍証明書として十分です。
児童を働かせるには親の同意書なども必要




一般的な会社ではなかなかありませんが、テレビや映画などの、いわゆる「子役」が出演する場合は、追加の種類が必要となります。
2項 児童の証明書
使用者は、前条第二項の規定によつて使用する児童については、修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書を事業場に備え付けなければならない。
出典:労働基準法 | e-Gov法令検索
法56条の例外である、児童を働かせる場合は、
・修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書
・親の同意書
両方を備え付けなければなりません。修学に差し支えないというのは、義務教育である学校の授業に出席し、勉強に支障がないという意味です。
児童は年少者でもありますので、年齢を証明する戸籍証明書も必要です。これらの書類は、使用者が提出を求める義務があります。
年齢を確認しない会社はブラックバイトかも?




近年では、「ブラックバイト」の存在も表面化しています。ブラック企業と同様に違法行為が常態化しており、年齢を確認せずに働かせるような場合は、働くのはやめましょう。
会社が年齢詐称をすすめる






学校が夏休みなので、ガンガン働きたいっす!






15歳か…まず住民票の写しか、住民票記載事項証明書を持ってきてくれる?それが無いと働けないよ…。






土日なので住民票の写しが発行できないみたいです…明日働きたいですが、難しいですか?






おいおい!少年が働きたいならいい方法があるだろう!例の書類を作って差し上げろ。我々は少年の働きたい気持ちを応援するぞ。






書類を偽造するのはオレ!?詐欺の主犯!
人手不足などの理由で、年少者を採用、会社ぐるみで年齢詐称する問題も発生しています。会社が確認を怠ったり、年齢詐称を促すことは、労働基準法違反だけではなく、場合によっては、詐欺罪などの犯罪にも繋がりかねません。
「年少者の証明書」満18歳未満を雇用したら年齢証明書の備付が必要 まとめ
- 年少者を働かせるには、年齢を証明する戸籍証明書が必要
- 児童を働かせるには、年少者の書類+学校長の証明書・親権者の同意書も必要
- 年齢を確認しない会社は、違法行為が常態化しているブラックバイトである可能性が高い
労働基準法57条「年少者の証明書」社労士試験過去問と解説




条文だけでは、いまいち理解できないことが多いので、社労士試験の過去問で復習しましょう。
※答えは「解答・解説を見る」▼を押して確認してください。
使用者は、児童の年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けることを条件として、満13歳以上15歳未満の児童を使用することができる。
出典:社労士過去問ランド






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