「最低年齢」法56条の解説 中学生以下は働かせてはならない

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「最低年齢」法56条の解説 中学生以下は働かせてはならない

世界の発展途上国では、貧困などの理由で子どもが働かなければならない、児童労働の問題があります。児童労働とは、義務教育を妨げる労働や、法律で禁止されている18歳未満の危険・有害な労働のことです。日本でも労働基準法が成立し、規制される前には、児童労働が行われていた事実があります。

心身の未熟な児童を保護するために、労働基準法ではさまざまな規制を設けています。

児童とは
各種法令で年齢区分が違いますが、労働基準法では「15歳に達した直後の最初の3/31までの者」のことをいいます。小中学生以下のことです。

ブラック派遣会社の常識「卒業式を終えれば働ける」

勇者もょもと

中学校の卒業式が終わったから働けますよね?魔王を倒すために、お金が必要です!

チャッピー

卒業式が終わっても、3/31までは中学生だ。4月になったらまた応募してね。

M部長

忙しいときに大事な戦力を逃してどうする!卒業式が終わったら大丈夫だ!春休みにガッツリ稼がせてやろう!

チャッピー

見た目中学生なので、派遣先にバレますよ!?

M部長

何か言われたら「職場体験」の授業と言っておけ!地域貢献活動だったら、いいだろう?

チャッピー

過酷な職場体験先ばかりで泣いてしまいますよ…

「最低年齢」法56条 条文解説

1項 最低年齢

使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了するまで、これを使用してはならない。

出典:労働基準法 | e-Gov法令検索

(条文解説)
原則として、中学生の年齢以下の児童を働かせてはいけません。雇用できる最低年齢は、中学校を卒業した者と定められていますので、小学生・中学生は働かせることができません。

2項 最低年齢の例外

前項の規定にかかわらず、別表第一第一号から第五号までに掲げる事業以外の事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満十三歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することができる。映画の製作又は演劇の事業については、満十三歳に満たない児童についても、同様とする。

(条文解説)
原則的には中学校を卒業するまでは、働かせることはできませんが、例外が認められるケースがあります。満13歳以上の児童で、工業的でない業種(製造工場や物流倉庫など)・健康や福祉に有害でない軽作業、労働基準監督署の許可を受けた場合には、修学時間外に働かせてもよいです。

映画や演劇の仕事(テレビや映画の子役など)は小学生以下でもできますが、労働基準監督署の許可や、修学時間外という条件は同様です。

修学時間とは
昼食や休憩時間を除いた授業中の時間。労働基準法では、小・中学校の義務教育を指します。

「最低年齢」法56条 まとめ

  • 原則として、中学生以下の児童を働かせてはならない
  • 児童とは、満15歳ではなく、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでのこと
  • 例外として、満13歳以上の児童で、工業的でない軽作業、労働基準監督署の許可を受けた場合のみ働かせることができる
卍室長

高校生になったらアルバイトができるという中学生。卒業式を終えた春休みは絶好のアルバイトしたい期間ですが、労働基準法上原則認められていません。法律違反をして働かせる会社は間違いなくブラック企業です。

「最低年齢」法56条 社労士試験過去問と解説

条文の内容を社労士試験過去問で復習します。過去の判例や事例を学ぶことで実務でも役立ちます。
答えは解答・解説を見る」 ▼を押して確認してください。

H29年出題 最低年齢

労働基準法第56条第1項は、「使用者は、児童が満15歳に達するまで、これを使用してはならない。」と定めている。

出典:社労士過去問ランド

H17年出題 解雇予告

労働基準法第56条に定める最低年齢違反の労働契約のもとに就労していた児童については、そもそも当該労働契約が無効であるので、当該児童を解雇するに当たっては、同法第20条の解雇予告に関する規定は適用されない。

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