同じ仕事内容で女性の給料が低いと違法「男女同一賃金の原則」

この記事では、労働基準法4条「男女同一賃金の原則」について、わかりやすく解説します。
同じ仕事内容で男女の給料差があると違法




ある会社では、男女別々に賃金表を適用し、明確な理由なく女性の給料を少なくしていたということがありました。この事例は、性別が女性であることを理由に、男女間で賃金に差をつけたとして、法4条違反になりました。
条文にはこのような記載があります。
男女同一賃金の原則
使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。
出典:労働基準法 | e-Gov法令検索
性別を理由として、賃金について不利益な取扱いをしてはいけないという原則を記したものです。例えば、家族手当や住宅手当の支給対象者を男性に限定している場合、法4条違反になります。
仕事内容が異なるなら違反にはならない
しかし、男女で「仕事の内容が違うから」賃金に差があるのは、違反ではありません。違反にならない具体例を挙げます。
- 女性は重いものを扱わない業務だから、男性より時給を低くする。
- 女性のみ制服を着用するという就業規則→賃金以外のことは4条違反にならない。
有利に扱う場合も違反になる




給料が少ない場合はもちろん、多い場合も差別的と定義されており、有利に取り扱う場合も、法4条違反に該当する場合があります。また1986年に施行された「男女雇用機会均等法」は、法4条が礎となっており、職場における性別による差別を禁止し、男女とも平等に扱うことを定めた法律です。
法4条では賃金のみの規定
労働基準法3条「均等待遇」では、「賃金、労働時間、その他の労働条件~」と広い範囲について差別禁止を規定していますが、法4条は、「賃金」についてのみと狭い範囲での規定となります。
「差別禁止規定」のある法律
労働基準法以外にも、差別禁止規定のある法律を紹介します。
- 雇用対策法
-
年齢差別禁止
- 障害者の雇用の促進等に関する法律
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障害者差別禁止
- 労働組合法
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労働組合員等の差別禁止
- 労働契約法
-
短時間労働者の雇用管理の改善、育休・介休取得等の権利行使
同じ仕事内容で女性の給料が低いと違法「男女同一賃金の原則」 まとめ
- 同じ仕事内容で、男女で給料の差があると、法4違法となる
- 男女で「仕事の内容が違うから」賃金に差があるのは、違反ではない
- 性別を理由に不利に扱うだけではなく、有利に扱う場合も違反になる
労働基準法4条「男女同一賃金の原則」社労士試験過去問と解説




条文だけでは、いまいち理解できないことが多いので、社労士試験の過去問で復習しましょう。
※答えは「解答・解説を見る」▼を押して確認してください。
労基法4条は、賃金について、女性であることを理由として、男性と差別的取扱いを禁止することを禁止しているが、賃金以外の労働条件についてはこれを禁止していない。
出典:社労士過去問ランド
労働基準法第4条が禁止する「女性であることを理由」とした賃金についての差別には、社会通念として女性労働者が一般的に勤続年数が短いことを理由として女性労働者の賃金に差別をつけることが含まれるが、当該事業場において実際に女性労働者が平均的に勤続年数が短いことを理由として女性労働者の賃金に差別をつけることは含まれない。
出典:社労士過去問ランド
労働基準法第4条は、性別による差別のうち、特に顕著な弊害が認められた賃金について、罰則をもって、その差別的取扱いを禁止したものである。
出典:社労士過去問ランド
労働基準法第4条の禁止する賃金についての差別的取扱いとは、女性労働者の賃金を男性労働者と比較して不利に取り扱う場合だけでなく、有利に取り扱う場合も含まれる。
出典:社労士過去問ランド






ブラック企業歴25年
「ブラック企業あるある」を反面教師に、法律を学べるかも!他の記事もヒマがあれば読んでください。