「高度プロフェッショナル制度」年収1,075万円以上が対象になる

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「高度プロフェッショナル制度」年収1,075万円以上が対象になる

高度プロフェッショナル制度は、働き方改革関連法で2019年4月からスタートした新しい制度です。特徴としては、高度の専門的知識を有する業務に従事する労働者について、働いた時間ではなく、成果によって賃金を払うというものです。ただし、対象となる労働者は、年収1,075万円以上、業種も限定されており制度を導入している企業はわずかです。

制度の目的は、対象労働者が高収入を確保しながら、メリハリのある働き方ができるようにすることです。

企画業務型裁量労働制との違い

企画業務型裁量労働制も高度プロフェッショナル制度と同様に、働いた時間ではなく成果によって評価される制度です。他にも労使委員会設置と多数の議決、残業の際の割増賃金の支払いが必要ないなど、共通点がありますが、以下の違いがありますので、相違点をまとめます。

項目高度プロフェッショナル制度企画業務型裁量労働制
休日・休憩除外適用
割増賃金支払なし深夜手当のみ
対象職種限定される限定されない
年収要件1,075万円以上要件なし

条文にて導入要件を確認します。

ブラック企業の常識「残業代ゼロ法の対象拡大」

M部長

当社も働き方改革の時流に乗って、高度プロフェッショナル制度を導入する!チャッピーお前が第一号だ。

チャッピー

導入要件の職種・年収を満たしていないと思いますが…

M部長

わが社の社是は「挑戦」だ!不可能を可能にすることが大事なんだ。つべこべ言うな。労使委員会でも決議された。

イワオ

い、いぎなーーしっ!

チャッピー

イワオ先輩、「異議なし」の意味わかってます?労働者代表の委員が一人なので、労使委員会として認められないと思います!

「高度プロフェッショナル制度」法41条の2 条文解説

1項 高度プロフェッショナル制度

(条文前半)
賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会(使用者及び当該事業場の労働者を代表する者を構成員とするものに限る。)が設置された事業場において、当該委員会がその委員の五分の四以上の多数による議決により次に掲げる事項に関する決議をし、

出典:労働基準法 | e-Gov法令検索

(条文解説・前半)
労使委員会を設置している会社で、その委員の5分の4以上の多数による議決を、次の各号の内容で決議し、(後半に続く)

決議事項
  1. 対象業務
  2. 対象労働者の範囲(対象者を誰にするか)
  3. 健康管理時間を把握する措置を講じること
  4. 休日の確保
  5. 選択的措置を講じること
  6. 健康福祉確保措置を講じること
  7. 同意を撤回する手続き
  8. 労働者からの苦情処理に関する措置を講じること
  9. 同意をしなかった労働者に不利益な取扱いをしないこと
  10. その他厚生労働省令で定める事項(決議の有効期間等)

(条文後半)
かつ、使用者が、厚生労働省令で定めるところにより当該決議を行政官庁に届け出た場合において、第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者(以下この項において「対象労働者」という。)であつて書面その他の厚生労働省令で定める方法によりその同意を得たものを当該事業場における第一号に掲げる業務に就かせたときは、この章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定は、対象労働者については適用しない。ただし、第三号から第五号までに規定する措置のいずれかを使用者が講じていない場合は、この限りでない。

(条文解説・後半)
その決議を労働基準監督署に届け出た場合に、書面によって同意を得た労働者が対象業務で就業した場合に、労働時間、休憩、休日及び、深夜の割増賃金に関する規定が除外されます。

労使委員会については、企画業務型裁量労働制の導入条件で定められた委員会と同じ内容となりますので、こちらの記事を確認してください。

第1号から第6号までの決議事項を詳しく確認していきます。第7号から第10号については、決議事項そのままの内容となります。

決議事項① 対象業務

対象業務とは、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして、厚生労働省令で定める5つの業務となります。

  1. 金融商品の開発業務
  2. 金融商品のディーラー業務
    投資判断に基づく資産運用の業務などです。
    金融商品を扱う窓口業務や、取次業務などは対象業務になりません。
  3. アナリスト業務
    有価証券等のアナリスト業務です。
  4. コンサルタント業務
  5. 研究開発の業務

金融商品とは
銀行、証券会社、保険会社など金融機関が提供・仲介する各種の預金、投資信託、株式、社債、公債、保険などのこと。
ディーラーとは
銀行、証券会社などに勤務し、自社の資金を使って、為替や株式、債券などを金融市場で売買する仕事。
アナリストとは
分析家。特に、精神分析や社会情勢などの調査・分析をする専門家。
コンサルタントとは
ある事柄について助言・指導を行う専門家。相談役。

決議事項② 対象労働者の範囲

対象となる労働者は次の二つのいずれにも該当する労働者をいいます。

  • 使用者との間の書面等による合意に基づき、職務が明確に定められている
  • 年収見込額が、基準年間平均給与額の3倍を相当程度上回る水準として、年収1,075万円以上である

基準年間平均給与額とは
厚生労働省において作成する、毎月勤労統計における毎月決まって支給する給与の額を基礎とし て、厚生労働省令で定めるところにより算定した、労働者一人当たりの給与の平均額をいう。ようするに世間一般の平均年収です。

令和元年4月1日から令和3年3月31日までの間に受理した高度プロフェッショナル制度の決議届及び定期報告によると、令和3年3月末時点で、同制度の導入企業数は20社、対象労働者数(合計)は552人!

決議事項③ 健康管理時間の把握

第3号から第6号については、健康確保のための措置となります。制度の対象者は労働基準法で定められる、労働時間、休憩、休日などの規定が除外されます。そのため、長時間労働による健康被害などが心配されるため、このような措置を使用者が講じる必要があります。

第3号は対象労働者の、健康管理時間を把握する措置を、使用者が実施すること及び、当該事業場における健康管理時間の把握方法を決議で明らかにする必要があります。

健康管理時間とは、対象労働者が「事業場内にいた時間」と「事業場外において労働した時間」の合計を指し、自己申告ではなく、タイムカードなど客観的な記録で把握することが原則です。

決議事項④ 休日の確保

対象労働者に年間104日以上、かつ、4週4日以上の休日を与えなければなりません。

決議事項⑤ 選択的措置

次のいずれかに該当する措置を決議で定め、実施しなければなりません。いずれの措置とするかは、対象となりえる労働者の意見を聴くことが望ましいです。

  • 勤務間インターバルの確保(11時間以上)+深夜業の回数制限(1カ月に4回以内)
  • 健康管理時間の上限措置
  • 連続2週間の休日を1年に1回以上与えること
  • 臨時の健康診断

決議事項⑥ 健康福祉確保措置

健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置として、次の措置のうちから決議で定め、実施しなければなりません。

  • 「決議事項第5号の選択措置」のいずれかの措置(第5号において決議で定めたもの以外)
  • 医師による面接指導
  • 代償休日または特別な休暇の付与
  • 心とからだの健康問題についての相談窓口の設置
  • 適切な部署への配置転換
  • 産業医等による助言指導又は保健指導

「高度プロフェッショナル制度」法41条の2 まとめ

  • 高度プロフェッショナル制度は、対象労働者が年収1,075万円以上・業種が限定されており導入実績はわずか
  • 働いた時間ではなく、成果により賃金を支払うため、労働時間、休憩、休日、深夜の割増賃金の法律が除外される
  • 企画業務型裁量労働制とは、導入の際に労使委員会設置と多数の議決割増賃金の支払いが無いなど共通点がある
卍室長

高度プロフェッショナル制度は国会で「残業代ゼロ法案」と呼ばれ様々な議論がされました。経済団体は、年収400万円超から導入できるように要望していましたが、反対がとても多く年収1,075万円以上の要件で法案が通された経緯があります。対象となる労働者が少ないですが、今後制度拡大されていく懸念がありますので、改正などに注目していく必要があります。

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