「有給休暇中の賃金」通常の賃金で支払うのが一般的 法39条の解説

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「有給休暇中の賃金」通常の賃金で支払うのが一般的 法39条の解説

年次有給休暇を取得したときの賃金計算方法は、「平均賃金」、「通常の賃金」、「標準報酬月額の日額換算」で支払うの3つがあります。ほとんどの会社は「通常の賃金」で支払っています。通常の賃金で支払う最大の理由は、都度賃金計算を行なう必要がなく、簡易的であるためです。

有給休暇の時効

日本では有給休暇の取得率は低く、使いたくても使えない職場環境で働く人も多いのが現状です。労働者が請求権の行使には期限があり、有給休暇の付与から2年を経過すると、時効により消滅してしまいます。

有給休暇の買い取りは違法?

有給休暇を使えないなら、買い取りはできないのか?という労働者・使用者も多いです。しかし有給休暇を賃金に換算して買い取ることは、原則法律違反となり、労働者からの申し出があっても認められません。ただし、例外として退職時と、2年の時効消滅時には、買い上げることが許されています。

ブラック企業の常識「有休を使うと給料が減る」

チャッピー

有給義務化などで何とか今月は有給を使用した…あれ?給料がいつもより少ない…

M部長

忙しいときに有給使いやがって…今日から24時間休みなく働け!

チャッピー

今月は閑散期だからみんな暇そうだけど…

チャッピー

先月の給料がかなり少ない気がしますが…有給扱いになっていますよね?

M部長

わが社は有給取得時の賃金は「∞通貨」だ!喜べ、社内販売の神様(社長)グッズに使えるぞ!

チャッピー

有給ではなく、ただの休みですね!

「年次有給休暇中の賃金」法39条 条文解説

9項 年次有給休暇中の賃金

(条文前半)
使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇の期間又は第四項の規定による有給休暇の時間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない。

出典:労働基準法 | e-Gov法令検索

(条文解説・前半)
労働者が有給休暇を取得した場合の賃金の計算方法は、就業規則に定めておかなければなりません。賃金を計算する方法は3つあり、

1.平均賃金で支払う
2.通常の賃金 で支払う
 計算方法は、通常の賃金÷所定労働日数
(後半に続く)

通常の賃金とは
年次有給休暇を取得した日に、給料を減額すべきところを減額しない方法です。

(条文後半)
ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間又はその時間について、それぞれ、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十条第一項に規定する標準報酬月額の三十分の一に相当する金額(その金額に、五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。)又は当該金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。

(条文解説・後半)
計算方法の最後は、

3.健康保険法に定める標準報酬日額に相当する金額を支払う
 計算方法は、標準報酬月額÷30

この方法を採用する場合は、労働者の過半数代表者と労使協定を締結することが条件になります。理由は、標準報酬日額と実際の賃金とでは金額差が生じるためです。この労使協定の届け出は不要です。

標準報酬月額とは
健康保険、厚生年金保険に加入する際に、給料や手当等の月額をもとに決定する等級のこと。有給の計算に使われるケースはあまり多くはありません。

「年次有給休暇の取得に対する不利益取扱いの禁止」法136条 条文解説

年次有給休暇の取得に対する不利益取扱いの禁止

使用者は、第39条第1項から第4項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

(条文解説)
使用者は有給休暇を取得したことを理由として、賃金の減額等の不利益な取扱いをしてはならないと定めていますが、努力義務規定と解釈されているため、罰則はありません。

努力義務規定とは
法律の条文で「~するよう努めなければならない」と記されるもので、罰則などはなく、当事者の自発的な行為をうながす効果があるに過ぎません。

「年次有給休暇中の賃金」法39条 まとめ

  • 有給を取得したときの賃金計算方法は、「平均賃金」「通常の賃金」「標準報酬月額の日額換算」の3つがある
  • ほとんどの会社では「通常の賃金」で支払っているが、理由としては賃金計算が簡単であるため
  • 賃金の計算方法は、就業規則に定めておく必要があるが、標準報酬日額を採用する場合は、労使協定の締結が必要
卍室長

「有給を使ったら給料が減った」という場合は、就業規則の有給休暇の賃金計算方法を確認しましょう。出勤した場合と同じ賃金が支払われるのが当然ではなく、平均賃金で計算しても法律上問題ありません。平均賃金を用いた場合、通常の賃金の7~8割くらいになります。

「年次有給休暇中の賃金」法39条 社労士試験過去問と解説

条文の内容を社労士試験過去問で復習します。過去の判例や事例を学ぶことで実務でも役立ちます。
答えは解答・解説を見る」 ▼を押して確認してください。

H25年出題 賃金:支払方法

労働基準法第39条の規定による年次有給休暇の期間又は時間については、平均賃金、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又は健康保険法第40条第1項に規定する標準報酬月額の30分の1に相当する金額のいずれかを、年次有給休暇を取得した労働者の指定するところに従い支払わなければならない。

出典:社労士過去問ランド

H19年出題 斉一的取扱い

年次有給休暇の斉一的取扱い(原則として全労働者につき一律の基準日を定めて年次有給休暇を与える取扱いをいう。)を行っている事業場において、毎年1月1日を基準日として年次有給休暇を付与している場合に、10月1日入社労働者に翌年の1月1日の基準日に労働基準法所定の年次有給休暇を付与する場合には、年次有給休暇の付与要件である「全労働日の8割以上出勤」の算定に当たっては、10月1日から12月31日までの期間については、その期間における出勤の実績により計算し、1月1日から3月31日までの期間については、全期間出勤したものとみなして計算しなければならない。

H24年出題 買上げの予約

労働基準法第39条に定める年次有給休暇について、労働者と使用者の間でその日数に相当する金銭を支給する年次有給休暇の買上げの予約がなされた場合、それが労働者の自由な意思によってなされたものと認められるときには、これに基づいて当該金銭を使用者が労働者に支給することによって、年次有給休暇は消化されたものとされる。

H25年出題 不利益な取扱いの禁止:罰則

労働基準法第136条の規定において、使用者は、同法第39条の規定による年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしてはならないことが罰則付きで定められている。

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