「企画業務型裁量労働制」ホワイトカラーのみなし労働時間を認める

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「企画業務型裁量労働制」ホワイトカラーのみなし労働時間を認める

法38条の4に規定される、企画業務型裁量労働制とは、ホワイトカラー労働者に対して、みなし労働時間を認める制度です。対象の職種は、本社の人事労務、財務、経営企画、営業企画などとされています。これらは、労働時間の規制がなじまない仕事が増えてきているため、2000年4月から制度がスタートしました。

ホワイトカラーとは
事務、管理部門に携わる労働者のこと。これに対して、直接、生産に携わる肉体労働者をブルーカラーと呼ぶ。

通常、給料は実労働時間で計算されますが、裁量労働制は、あらかじめ決められた「みなし時間」で給料を支払うという制度です。みなし労働時間制については、こちらの記事でご確認ください。

かんりにん

管理人は、ブラック企業歴25年・社労士試験を受けようと思ってのは10年前…。勉強がまったく捗らないときに考えたのが、
ブラック企業あるあると、法律を関連付けて記憶する!」勉強法です。
日々試行錯誤しながら、学習しております。

労働基準法38条の4「企画業務型裁量労働制」条文

企画業務型裁量労働制

(条文前半)
賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会(使用者及び当該事業場の労働者を代表する者を構成員とするものに限る。)が設置された事業場において、当該委員会がその委員の五分の四以上の多数による議決により次に掲げる事項に関する決議をし、

出典:労働基準法 | e-Gov法令検索

(条文解説・前半)
労使委員会を設置して、その委員の5分の4以上の多数により、次の事項(対象者、労働時間としてみなす時間など)に関する議決をして(後半に続く)

労使委員会とは
使用者および、労働者を代表する者によって構成される委員会。賃金、労働時間などの労働条件に関する事項を調査・審議し、使用者に対して意見を出す。

(条文後半)
かつ、使用者が、厚生労働省令で定めるところにより当該決議を行政官庁に届け出た場合において、第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者を当該事業場における第一号に掲げる業務に就かせたときは、当該労働者は、厚生労働省令で定めるところにより、第三号に掲げる時間労働したものとみなす

(条文解説・後半)
労働基準監督署に届け出たときは、企画業務型裁量労働制を導入することができます。企画業務型裁量労働制については、労使協定ではなく、労使員会でなければなりません。また、派遣労働者については、対象となりません。

決議事項
  1. 対象業務の範囲
  2. 対象労働者の範囲
  3. 労働したものとみなす時間
  4. 対象労働者の健康・福祉を確保するための措置の内容
  5. 対象労働者からの苦情の窓口などの設置
  6. 制度の適用について対象労働者から同意を得ることと
    不同意労働者への不利益な取扱い禁止
  7. 決議の有効期間
  8. 制度の実施状況に係る記録を保存すること

企画業務型裁量労働制導入までの手順

条文だけではわかりにくいですが、以下の手順にて導入を行います。

STEP
労使委員会を設置する
  • 委員の半数は、その事業場の過半数の労働者が加入する労働組合(無い場合は、労働者の過半数の代表者)に指名された者。
  • 委員会の議事を作成・保存し、周知する。
STEP
労使委員会で決議する
  • 対象者、労働時間としてみなす時間など、8項目の決議を行う。
    (条文解説の決議事項参照)
  • 委員の5分の4以上の多数による決議。
STEP
労働基準監督署に届け出る
  • 決議を労働基準監督署に届け出る
    届け出ることで効力が発生する。
STEP
対象労働者の同意を得る
  • 対象事業場は、本社・本店、会社の決定に大きな影響を及ぼす計画が行われる、支社・支店など。
  • 対象業務は、運営・企画・立案・調査・分析で、遂行にあたって大幅に労働者の裁量に委ねる必要のある業務。
  • 対象者は、対象業務に常時従事し、適切に遂行するための知識、経験等を持つ者。
STEP
制度を実施する
  • 決議の有効期間満了後、継続する場合は労使委員会の決議が必要。
  • 有効期間は、3年以内とすることが望ましい。

労働基準法38条の4「企画業務型裁量労働制」まとめ

  • 企画業務型裁量労働制は、ホワイトカラー労働者にみなし労働時間を認める制度
  • みなし時間が8時間であれば、実労働時間にかかわらず、残業代が発生しない
  • 導入には、労使委員会の設置と、5分の4以上の多数による決議が必要

労働基準法38条の4「企画業務型裁量労働制」社労士試験過去問と解説

条文だけでは、いまいち理解できないことが多いので、社労士試験の過去問で復習しましょう。
※答えは解答・解説を見る」▼を押して確認してください。

H17年出題 要件:届出

労働基準法第38条の4に規定するいわゆる企画業務型裁量労働制を採用するために行われる同条第1項の委員会の決議は、所轄労働基準監督署長に届出をしなければならないが、これはあくまで取締規定であり、届出をしないからといって、同項による企画業務型裁量労働制の効力発生に影響するものではない。

出典:社労士過去問ランド

H22年出題 労使委員会

労働基準法第38条の4第1項に定めるいわゆる労使委員会の労働者側委員は、当該事業場の労働者の投票又は挙手によって選出されなければならない。

H20年出題 労働者の同意

労働基準法第38条の4に規定するいわゆる企画業務型裁量労働制を採用する場合には、適用される労働者の同意を得なければならないことにつき労使委員会で決議しなければならないが、労働基準法第38条の3に規定するいわゆる専門業務型裁量労働制の採用に当たって、適用される労働者の同意を得ることについて労使協定で定めることは、労働基準法上求められていない。

H22年出題 労使委員会

労働基準法第38条の4第1項に定めるいわゆる労使委員会は、同条が定めるいわゆる企画業務型裁量労働制の実施に関する決議のほか、労働時間・休憩及び年次有給休暇に関する労働基準法上の労使協定に代替する決議を行うことができるものとされている。

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