法38条「労働時間の通算」副業・Wワークの労働時間は通算される

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法38条「労働時間の通算」副業・Wワークの労働時間は通算される

コロナ禍の休業や残業の減少により、副業やダブルワークをする人も以前に比べると増えています。副業のアルバイト先で、簡単に始められるのが、通勤途中のコンビニや飲食店です。特にコンビニは、店舗数が多く24h営業なので、希望する時間帯で働きやすいです。

副業やダブルワークは、「働き方改革」の一つの施策としても、国が普及促進しています。しかし、問題点も多数あり、その一つが労働時間の管理です。労働基準法38条では、事業場が異なる場合でも労働時間は通算するとされています。

通算ルールとは

労働基準法38条の1は「通算ルール」と呼ばれ、副業者を採用する会社のネックになっています。働き方改革では、副業・兼業を促進しているため、この通算ルールの変更も検討されています。具体的には、日単位・週単位から、月単位での長い期間にて、副業・兼業の労働時間管理を行っていくなどです。

労働時間通算の具体例

現状の具体例を見てみます。正社員で日中8時間勤務、仕事帰りにコンビニで3時間勤務した場合、1日の労働時間が11時間となり、8時間を超えます。コンビニで36協定を締結していれば、法定労働時間を超えて働くことは可能ですが、コンビニでは割増賃金の支払い義務が生じます。

原則として労働契約を後に締結した事業場が負うとする考えが一般的ですが、それぞれが勤怠情報を把握する必要があるため、現実的に割増賃金を法定通り支払うのは難しいといえます。

かんりにん

管理人は、ブラック企業歴25年・社労士試験を受けようと思ってのは10年前…。勉強がまったく捗らないときに考えたのが、
ブラック企業あるあると、法律を関連付けて記憶する!」勉強法です。
日々試行錯誤しながら、学習しております。

労働基準法38条の1「労働時間の通算」条文

1項 労働時間の通算

労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

出典:労働基準法 | e-Gov法令検索

(条文解説)
副業・ダブルワークなど1日に複数の会社で勤務した場合も、労働時間は通算されます。例えば、A社で6時間勤務後、B社で4時間勤務したときは、通算された10時間が労働時間となります。

上記例の場合、2hの時間外労働(残業代)が発生し、原則的には後から採用したB社が支払うことになっています。労働時間の通算については、過重労働を防止するという目的もありますので、A・Bが無関係の会社であっても通算されます。

2項 坑内労働の労働時間

坑内労働については、労働者が坑口に入つた時刻から坑口を出た時刻までの時間を、休憩時間を含め労働時間とみなす。但し、この場合においては、第三十四条第二項及び第三項の休憩に関する規定は適用しない

(条文解説)
労働者が坑内労働するときは、休憩時間を含めて坑口(こうこう)に入った時刻から坑口を出た時刻までを労働時間とします。このときは、法34条2項の一斉休憩、3項の休憩時間の自由利用の規定は適用されません。1項の規定である、労働時間が8時間を超える場合の60分休憩時間は、除外されていないので休憩を与える必要があります。

坑内労働とは
見かける求人は少ないですが、石炭の採掘など鉱山・坑内作業やトンネル工事のことです。過酷な労働環境であるため、時間外労働も含め10時間が限度とされています。

労働基準法38条の1「労働時間の通算」まとめ

  • 副業・ダブルワークなど1日に複数の会社で勤務した場合、労働時間は通算される
  • 法定労働時間を超える場合は、後から労働契約を交わした会社が、割増賃金の支払義務が発生する
  • 坑内労働では、休憩時間を含めて、坑口に入った時刻から出た時刻までが労働時間となり、10時間が限度時間

労働基準法38条の1「労働時間の通算」社労士試験過去問と解説

条文だけでは、いまいち理解できないことが多いので、社労士試験の過去問で復習しましょう。
※答えは解答・解説を見る」▼を押して確認してください。

H26年出題 時間計算(事業場を異にする場合の通算)

労働基準法上の労働時間に関する規定の適用につき、労働時間は、同一事業主に属する異なった事業場において労働する場合のみでなく、事業主を異にする事業場において労働する場合も、通算される。

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