労働時間が6h超えで45分、8h超えで60分「休憩時間」が必要

  • URLをコピーしました!
目次

労働時間が6h超えで45分、8h超えで60分「休憩時間」が必要

この記事では、労働基準法34条「休憩時間」について、わかりやすく解説します。休憩の目的は、労働者の精神的・肉体的な疲労回復させることです。法34条では、休憩時間について3つの原則を定めています。

  • 途中付与の原則
  • 一斉付与の原則
  • 自由利用の原則

それぞれの内容と注意点を、条文で確認してきます。

かんりにん

管理人は、ブラック企業歴25年・社労士試験を受けようと思ってのは10年前…。勉強がまったく捗らないときに考えたのが、
ブラック企業あるあると、法律を関連付けて記憶する!」勉強法です。
日々試行錯誤しながら、学習しております。

労働基準法34条「休憩時間」条文

1項 休憩時間(途中付与の原則)

使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

出典:労働基準法 | e-Gov法令検索

(条文解説)
労働時間が6時間を超えるときは少なくても45分、労働時間が8時間を超えるときは少なくても60分の休憩時間を、労働時間の途中で与える必要があります。

休憩時間を勤務時間の始めや終わりに与えることは、たとえ労働者の同意があっても認められません。長い時間仕事をすると、どうしても効率が低下します。集中力が下がり、事故に繋がることもあります。休憩時間は、疲労を回復するための時間なので、途中でとる必要があります。

「以上」「超える」の使い分け

日常の場面では、「以上」と「超える」は、あまり区別はされていません。法律用語では、「以上」と「超える」は明確に区分けされます。

以上と以下

以上は基準となる数量に対して、それより多いこと。以下は、基準となる数量に対して、それより少ないこと

超えると未満

超えるは基準となる数量は含まずに、それより多いこと。未満は、基準となる数量は含まずに、それより少ないこと

条文の「8時間を超えるとき」は、8時間は含みませんので、労働時間が8時間の場合は、休憩は45分だけで大丈夫です。しかし1分でも残業をする場合は、追加で休憩をとる必要が出てきます。

残業の場合は、15分休憩をしてからという会社もありますが、最初から所定労働時間の間に休憩時間を60分間確保しておく方が、休憩時間の取得忘れを無くすためにもいいです。

2項 一斉付与(一斉付与の原則)

前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

(条文解説)
休憩時間は、一斉に与えないといけませんが、労働者の過半数代表者と労使協定を締結したときは、一斉に与えなくても大丈夫です。休憩時間をバラバラにすると、管理ができずに取れない人が出てくるためです。

この労使協定については、届出は不要です。一斉付与の例外規定が、法40条にもありますのであわせて確認してください。

3項 休憩時間の自由利用(自由利用の原則)

使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

(条文解説)
休憩時間は、業務から完全に解放されている時間を言います。休憩時間に、電話当番をさせていたら、その休憩時間分の賃金(残業手当)を支払わなければなりません。ただし、事業場の規律上必要な制限ならよいとされており、外出が許可制などは、事業場内で自由に休憩ができれば問題ないとされています。

休憩時間の自由利用の特例(例外)

休憩時間は自由に利用させないといけませんが、次に該当する労働者については、利用の仕方を制限できます。

  • 坑内労働者
  • 警察官
  • 消防士
  • 常勤の消防団員
  • 児童自立支援施設に勤務する職員で児童と日常生活をともにする者
  • 乳児院、児童養護施設、知的障害児施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設に勤務する職員で児童と日常生活をともにする者

これらの方は、業務は性質上、一定の場所にいることが求められ、外出などが制限されます。

労働基準法34条「休憩時間」まとめ

  • 休憩時間には、途中付与一斉付与の原則、自由利用の3つの原則がある
  • 労働時間が6時間を超えるときは45分8時間を超えるときは60分の休憩時間を与えなくてはならない
  • 労使協定の締結で一斉付与の適用外、警察官などの自由利用の制限など、例外もある

お昼休憩時に回ってくる、来客対応・電話当番が「休憩時間ではない」とモヤモヤします。電話当番は、指揮命令下にあり、業務から完全に解放されていないため、原則として労働時間となります。

ただし、ほとんど来客・電話対応が無く、自由に時間を使える状況であれば、休憩時間と見なされる場合もあります。

労働基準法34条「休憩時間」社労士試験過去問と解説

条文だけでは、いまいち理解できないことが多いので、社労士試験の過去問で復習しましょう。
※答えは解答・解説を見る」▼を押して確認してください。

H26年出題 休憩時間の意義

労働基準法第34条に定める「休憩時間」とは、単に作業に従事しないいわゆる手待時間は含まず、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間をいう。

出典:社労士過去問ランド

H24年出題 自由利用:制限

労働基準法第34条に定める休憩時間の利用について、事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し支えない。

H29年出題 一斉付与

労働基準法第34条に定める休憩時間は、労働基準監督署長の許可を受けた場合に限り、一斉に与えなくてもよい。

H24年出題 途中付与

使用者は、1日の労働時間が8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならず、1日の労働時間が16時間を超える場合には少なくとも2時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次