法33条「災害時の残業」36協定無で時間外・休日労働をさせられる

この記事では、労働基準法33条「災害時の残業」について、わかりやすく解説します。
法33条は、36協定を締結していない場合でも、災害時には時間外労働および、休日労働をさせることのできることについて定めています。36協定については、こちらの記事を確認してください。




災害時とは、地震、津波、風水害、雪害、爆発、火災等の災害への対応などですが、2019年6月の通達で、以下の内容が追加されました。
事業の運営を不可能ならしめるような突発的な機械・設備の故障の修理、保安やシステム障害の復旧は認める が、通常予見される部分的な修理、定期的な保安は認めないこと。例えば、サーバーへの攻撃によるシステムダウンへの対応は含まれること。
追加の内容は、今の労働環境を反映した内容となります。






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労働基準法33条「災害時の残業」条文




1項 災害時の残業
災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において第三十二条から前条まで若しくは第四十条の労働時間を延長し、又は第三十五条の休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない。
出典:労働基準法 | e-Gov法令検索
(条文解説)
災害が発生したときや、臨時の必要がある場合は、労働基準監督署の許可を受けた上で、時間外労働や休日労働をさせることができます。
緊急を要して、労働基準監督署の許可を受ける時間がない場合は、事後に届け出ればよいとされています。法33条は、36協定の締結ができていな場合なので、36協定結んでいれば、この規定は関係ありません。




派遣労働者の場合
派遣の場合の使用者責任は、派遣元になることが多いですが、災害時においては、派遣先が労働基準監督署に許可を受ける必要があります。
2項 災害時の残業の不許可
前項ただし書の規定による届出があつた場合において、行政官庁がその労働時間の延長又は休日の労働を不適当と認めるときは、その後にその時間に相当する休憩又は休日を与えるべきことを、命ずることができる。
(条文解説)
事後に届け出があった場合、労働基準監督署が時間外労働や、休日労働を不適当と認めるときは、その後に、その時間に相当する休憩または、休日を与えることを命ずることができる、とされています。
3項 公務員の臨時の残業




公務のために臨時の必要がある場合においては、第一項の規定にかかわらず、官公署の事業(別表第一に掲げる事業を除く。)に従事する国家公務員及び地方公務員については、第三十二条から前条まで若しくは第四十条の労働時間を延長し、又は第三十五条の休日に労働させることができる。
(条文解説)
国家公務員と地方公務員については、一部の者を除いて、臨時的に公務を行う必要がある場合は、時間外労働や休日労働をさせることができる、例外規定が定められています。労働基準監督署の許可や、事後の届け出は不要です。
労働基準法33条「災害時の残業」まとめ
- 災害や緊急時は、36協定が無くても時間外労働や休日労働をさせることができる
- 労働基準監督署の許可が必要だが、緊急の場合は事後の届け出でよい
- 公務員には、臨時的に公務を行う必要がある場合に、時間外労働・休日労働をさせることができる例外規定がある
労働基準法33条「災害時の残業」社労士試験過去問と解説




条文だけでは、いまいち理解できないことが多いので、社労士試験の過去問で復習しましょう。
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H22年出題 災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働
労働基準法第33条第1項に定める災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働、休日労働については、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において行わせることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならないとされている。
出典:社労士過去問ランド