「労働条件の決定」働く条件は労使対等で決定しなければならない

この記事では、労働基準法2条「労働条件の決定」について、わかりやすく解説します。
労働条件は対等に決めなければならない




労働基準法には、「働く条件(労働条件)は、労使(労働者と使用者)が対等な立場で決定しなければならない」と定められています。また労働条件以外にも就業規則などのルールを、お互いが守らなければならないとしており、この原則を対等・法令等遵守の原則といいます。
働く条件(労働条件)の決定について、法律条文とその解説を確認します。
1項 労働条件の決定
労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。
出典:労働基準法 | e-Gov法令検索
労働契約(労働条件の内容を決めた契約)は、本来労働者と使用者という対等な立場で、自由意思に基づいた労務提供に関する契約です。しかし、過去には社会的・経済的に優位に立つ使用者が、一方的に労働条件を決定し、労働者がそれに従わざるを得ないのが実態もありました。
それを防ぐため、法2条で「労働条件は労働者と使用者が対等の立場において決定すべき」と規定しています。
1条と2条には罰則がない
法1条と2条は「労働条件に関する基本原則」としての条文です。訓示的な内容であるため、罰則はありません。
就業規則などのルールは、会社・従業員共に守らなければなりませんが、ブラック企業には、それらのルールを無視し、自分のルールを押し付ける上司がいます。




仕事上のルールは守りましょう
2項には会社も従業員も、「仕事をする上でのルールを守ろうね」という当たり前のことが書いてあります。
2項 就業規則と労働契約の遵守
労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。
出典:労働基準法 | e-Gov法令検索
仕事をする上で、働く人(労働者)と雇う人(使用者)それぞれが決まり事(労働協約、就業規則、労働契約)を守る必要があり、その中に規定されている義務を履行しなければなりません。
この条文の内容は信義則といい、人と人との社会生活においては、権利の行使や義務の履行にあたって、相手方の信頼や期待を裏切らないように、誠意をもって行う必要があるという意味があります。
労働基準法の基礎「基本7原則」




労働基準法1条から7条までは、労働基準法の「基本7原則」と呼ばれ、労働基準法の基礎と位置付けられています。労働基準法を理解する上で大切な考え方になります。
「労働条件の決定」働く条件は労使対等で決定しなければならない まとめ
- 労働条件は労働者、使用者の間で対等な立場で、決定しなければならない
- 労働協約・就業規則・労働契約の就業上のルールを、労働者・使用者それぞれが守らなければならない
労働基準法2条「労働条件の決定」社労士試験過去問と解説




条文だけでは、いまいち理解できないことが多いので、社労士試験の過去問で復習しましょう。
※答えは「解答・解説を見る」▼を押して確認してください。
労働基準法2条が「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきである」との理念を明らかにした理由は、概念的には対等者である労働者と使用者の間にある現実の力関係の、不平等を解決することが、労働基準法の重要な視点であることにある。
出典:社労士過去問ランド
労働基準法第2条第1項により、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」ため、労働組合が組織されている事業場では、労働条件は必ず団体交渉によって決定しなければならない。
出典:社労士過去問ランド
都道府県労働局長は、法令又は労働協約に抵触する就業規則を定めている使用者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができ、勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。
出典:社労士過去問ランド
行政官庁が、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命じても、それだけで就業規則が変更されたこととはならず、使用者によって所要の変更手続がとられてはじめて就業規則が変更されたこととなる。
出典:社労士過去問ランド
労働基準法第92条第1項は、就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならないと規定しているが、当該事業場の労働者の一部しか労働組合に加入していない結果、労働協約の適用がその事業場の一部の労働者に限られているときには、就業規則の内容が労働協約の内容に反する場合においても、当該労働協約が適用されない労働者については就業規則の規定がそのまま適用されることになる。
出典:社労士過去問ランド






ブラック企業歴25年
「ブラック企業あるある」を反面教師に、法律を学べるかも!他の記事もヒマがあれば読んでください。