法27条「出来高払制の保障給」労働基準法では完全出来高払制を禁止

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法27条「出来高払制の保障給」労働基準法では完全出来高払制を禁止

この記事では、労働基準法27条「出来高払制の保障給」について、わかりやすく解説します。

営業職の求人で、「完全出来高払制」や「出来高払制」というのを見かけます。法律上の明確な定義はありませんが、労働基準法27条には「出来高払制に最低保障給を設けなければならない」と定めています。

それに対して、完全出来高払制は、最低保障給がありません。最低保障給の有無が二つの違いといえます。それぞれの特徴を確認します。

完全出来高払制

業務委託契約で取り交わされる形態で、仕事をすることによって得られる成果分だけ、収入が入る制度です。成果単位に対しての報酬が決まっているのが特徴です。業務委託になると、個人事業主という扱いであるため、労働基準法の適用外となります。

出来高払制

仕事をすることによって得られる成果分だけ、収入が入る制度で、タクシーの運転手や生命保険の営業などで導入されています。成果に対しての報酬とは別に最低保障給が設定されており、最低限の報酬が支払われるのが、労働基準法上の出来高払制の労働者です。

違法な出来高払制

ブラック・浄水器販売会社
営業部 新卒 チャッピー
「だまして売る」ことに対する良心の呵責に苛まれる。

ブラック・浄水器販売会社
営業部長 M 「お前の代わりなんて、いくらでもいるんだよ!」が口癖。

M部長

「社員の頑張りに応える会社」をモットーにしているわが社では、給与体系の見直しを行った。

チャッピー

新しいことをするときは、嫌な予感しかない…

M部長

新しい給与体系では、固定給:1万円/月、新規営業獲得:1万円/件という夢とやりがいのある制度だ。やればやるだけ収入が増えるぞ!

チャッピー

固定給低っ!人件費下げる目的のみ!

チャッピー

えーっと、労働基準法によると、保障給が6割を下回るのは違法っぽいです…

出来高払い制は、労働時間とは無関係の「出来高」で評価して賃金を支払うことです。使用者にとっては一見無駄のない、効率的な賃金制度ですが、労働者にとっては賃金の増減があるため不安定な制度です。

かんりにん

管理人は、ブラック企業歴25年・社労士試験を受けようと思ってのは10年前…。勉強がまったく捗らないときに考えたのが、
ブラック企業あるあると、法律を関連付けて記憶する!」勉強法です。
日々試行錯誤しながら、学習しております。

労働基準法27条「出来高払制の保障給」条文

出来高払制の保障給

出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。

出典:労働基準法 | e-Gov法令検索

(条文解説)
出来高払い制度を採用していても、労働者が一定時間労働を提供した場合には、出来高が少なかったり無かったとしても、その労働時間に応じて一定の賃金を必ず支払わなければなりません。

この最低限支払わなければならない、一定の賃金を、「出来高払制の保障給」といいます。賃金のすべてを歩合給などの出来高払いにすること、いわゆる「完全出来高払制」を禁止しています。

出来高払制の保証給の金額

出来高払い制の保障給については、「通常の労働者の実収賃金を余り下回らない程度の収入が保障されるべき」であるとされており、休業手当と同様の平均賃金の6割程度が妥当であると解されています。

ただし、労働者に該当しない個人事業主・フリーランスなどは、労働基準法が適用されませんので、この規定も適用外となります。

労働基準法27条「出来高払制の保障給」まとめ

  • 出来高払い制とは、売上高や生産量などの成果分に応じて賃金が支払われる制度
  • 完全出来高払制とは、労働時間ではなく、成果分だけで収入が決まる制度で、労働基準法では禁止している
  • 法27条の出来高払い制の保障給は、平均賃金の6割程度が妥当であるとしている

労働基準法27条「出来高払制の保障給」社労士試験過去問と解説

条文だけでは、いまいち理解できないことが多いので、社労士試験の過去問で復習しましょう。
※答えは解答・解説を見る」▼を押して確認してください。

H28年出題 定義

労働基準法第27条に定める出来高払制の保障給は、労働時間に応じた一定額のものでなければならず、労働者の実労働時間の長短と関係なく1か月について一定額を保障するものは、本条の保障給ではない。

出典:社労士過去問ランド

H17年出題 保障給の額

ある会社で、出来高払制で使用する労働者について、保障給として、労働時間に応じ1時間当たり、過去3か月間に支払った賃金の総額をその期間の総労働時間数で除した金額の60パーセントを保障する旨を規定し、これに基づいて支払いを行っていた。これは、労働基準法第27条の出来高払制の保障給に関する規定に違反するものではない。

H26年出題 趣旨

いわゆる出来高払制の保障給を定めた労働基準法第27条の趣旨は、月給等の定額給制度ではなく、出来高払制で使用している労働者について、その出来高や成果に応じた賃金の支払を保障しようとすることにある。

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