「解雇予告の適用除外」試用期間、2カ月以内の雇用は解雇予告は不要

労働者保護の観点から、簡単に解雇できなかったり、解雇には制限・予告期間が設けられています。しかし臨時的な雇用であったり、試用期間など、働き続けられると確信できる段階ではない労働者の場合、解雇予告の手続きは不要とされています。
この記事では、労働基準法21条「解雇予告の適用除外」について、わかりやすく解説します。
適用除外とは
労働基準法21条は、法20条「解雇予告」の適用除外の条文です。適用除外とは、「法律の内容を適用しない」という意味なので、原則として解雇の予告が必要だが、例外的に必要ない労働者を確認する条文です。






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労働基準法21条「解雇予告の適用除外」条文




解雇予告の適用除外
前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第一号に該当する者が一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第二号若しくは第三号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。
一 日日雇い入れられる者
出典:労働基準法 | e-Gov法令検索
二 二箇月以内の期間を定めて使用される者
三 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者
四 試の使用期間中の者
(条文解説)
法20条解雇の予告について、次の労働者については解雇予告の手続きは不要です。
- 日雇い労働者
- 2ヶ月以内の期間を定めて雇用される者
- 季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて雇用される者
- 試用期間中の者
上記の労働者は、臨時的な雇用であったり、働き続けられると確信できる段階ではありませんので、解雇予告の手続きは不要とされています。しかし、それぞれの者が、次に至ったときは解雇予告が必要になります。
解雇予告の適用除外 | 解雇予告適用 |
---|---|
日雇い労働者 | 1カ月を超えて雇用することになった場合 |
2カ月以内の期間を定めて雇用される者 | 最初の期間を超えて契約を更新した場合 |
季節的業務に4カ月以内の期間を定めて雇用される者 | 最初の期間を超えて契約を更新した場合 |
試用期間中の者 | 採用して15日以上が経過した場合 |
試用期間中の者の15日というのは、出勤日ではなく暦日(カレンダーの日数)となります。採用日から2週間以内、10月1日に採用したら、10月14日までなら解雇予告は不要ですが、10月15日以降になると解雇予告が必要になります。




以下、以上、未満、超えるの違い
「以下」「以上」「未満」「超える」とは、数量範囲を指す用語です。
- 「以下」「以上」は、基準となる数量を含みます
- 「未満」「超える」は、基準となる数量を含みません
試用期間中の者の、解雇予告適用日について注意しましょう。
2カ月以内の契約を繰り返せば解雇予告は不要?




ブラック派遣会社
営業部 新卒 チャッピー
下っ端。




ブラック派遣会社
営業部長 M
上からのプレッシャーがキツい。




派遣先
担当 ホネ夫
計画性ゼロ。




ブラック派遣会社
派遣スタッフ スネ夫
派遣社員歴 5年






上海ロックダウンの影響で、部品が入ってこない。稼働が少ないから、派遣さんは当面不要です。






最近仕事が無くて、生活ができないんだけど!解雇みたいなもんだから、手当でるよね?






スネ夫さんの場合、2カ月以内の雇用契約なので、解雇にはならないと思います…多分。






契約期間とかよくわからないけど、いつも電話で仕事紹介されて、もう5年くらい働いているぜ。






~という場合、解雇になるのでしょうか?






短期の派遣スタッフに解雇なんてあるわけねーだろ!仕事に行きたいのなら、地下王国建国現場に行かせろ!社長から工期を半分しろって言われてる!






地下建設現場は、「強制労働施設」と言われ、誰も行きません…






それなら自主退職だ!解雇とか有給とか言ってくるやつは、全部地下王国を案内しろ!嫌なら辞めろ!
雇用契約期間を2カ月以内と定めていても、次の場合は30日前までに告知の義務が生じます。
- 3回以上更新されている場合
- 1年以上継続勤務している場合
解雇予告手当を出したくないブラック企業は、解雇にならないように自主退職を促します。
雇用契約期間が短期の場合には、正社員のように解雇に対しての保護を受けられません。時間の調整ができる働き方などメリットがありますが、即日解雇をされてしまうデメリットがあります。
労働基準法21条「解雇予告の適用除外」まとめ
- 適用除外とは、「法律の内容を適用しない」という意味
- 日雇いや雇用期間の短い労働者、試用期間中の労働者は、解雇予告が不要
- 雇用期間が当初の予定より長くなる場合には、解雇予告が必要になる
労働基準法21条「解雇予告の適用除外」社労士試験過去問と解説




条文だけでは、いまいち理解できないことが多いので、社労士試験の過去問で復習しましょう。
※答えは「解答・解説を見る」▼を押して確認してください。
H23年出題 期間を定めて使用される者
労働基準法第20条所定の予告期間及び予告手当は、6か月の期間を定めて使用される者が、期間の途中で解雇される場合には適用されることはない。
出典:社労士過去問ランド
H26年出題 試の使用期間中の者
試みの使用期間中の労働者を、雇入れの日から起算して14日以内に解雇する場合は、解雇の予告について定める労働基準法第20条の規定は適用されない。
H23年出題 試の使用期間中の者
労働基準法第20条所定の予告期間及び予告手当は、3か月の期間を定めて試の使用をされている者には適用されることはない。