労働基準法1条「労働条件の原則」第1条はその法律の目的条文を明記

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労働基準法1条「労働条件の原則」第1条はその法律の目的条文を明記

この記事では、労働基準法1条「労働条件の原則」について、わかりやすく解説します。

法律の第1条は「目的条文」と呼ばれる

法律は国が定め、国民が守るべきルールです。日本には現在約2,000もの法律があり、その第1条にはその法律の考え方や目的が明記されています。そのため、各法律の第1条を目的条文といいます。

目的条文を理解することで、法律が何のために定められ、どのようなことを実現したいのかが分かり、その法律への理解が深まります。法律の目的条文は、会社の理念や社訓のような位置づけです。

社訓については、こちらの記事でご確認ください。

労働基準法の目的とは

働く人を守る法律である「労働基準法」の考え方や目的を、第1条の条文で確認します。

1項 労働条件の原則

労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。

出典:労働基準法 | e-Gov法令検索

労働条件とは

条文に登場する、労働条件とは文字通り「働く条件」です。働く条件は、労働時間・賃金などに関する雇用の条件ですが、お金を払う立場が強い使用者(会社)がルール無く決めると、労働者(働く人)にとって不利な条件になってしまいます。

そのため、労働者を保護する目的で「働く条件は最低限の生活ができる以上の条件で取り交わさなければならない」と、法律で定めています。つまり、労働基準法の目的は、働く条件の最低条件を定めるということです。

法1条は労働基準法の大原則を表したもので、日本国憲法の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」を労働基準法に置き換えたものです。

労働基準法を理由に条件を下げてはいけない

2項には、「労働基準法を理由に、労働条件を下げてはいけない」と記しています。

2項 労働条件の低下

この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

出典:労働基準法 | e-Gov法令検索

例えば、就業規則で1日の労働時間が7時間と定められていた場合(所定労働時間といいます)に、「労働基準法で8時間まで働かせてもいいと決まっているから、所定労働時間を8時間に変更する。」というように、「労働基準法を理由にして」労働条件を低下させてはならないとされています。

また使用者労働者は、お互いにより良い労働条件になるように努力しなければなりません。働く人は、成果が出るように頑張って働き、それに対して会社も給料を上げるなど、よい循環を作らなければならないということです。

法律条文読み方のポイント

最後に法律条文の読み方について、少し解説します。法律条文は普段使わない言い回しが多いので、慣れるまでは内容が難しく感じます。条文の構成や言い回しの一部を紹介します。

条・項・号で階層的に表記する

条文は、条・項・号の順番で書かれています。「条」に書いてある内容をさらに詳しく説明するとき、「項」「号」と続きます。パソコンのフォルダのような階層構造になっています。

義務規定と努力規定で罰則の有無が変わる

条文の語尾により、その内容の強制力が変わり、義務規定と努力規定というものがあります。

義務規定とは

語尾が「…しなければならない」で終わり、「必ずしなければならない」というもので、罰則があることが多いです。

努力規定とは

語尾が「…努めなければならない」で終わり、「できるだけ努力して実現するようにする」というもの。罰則はないが、改正などにより義務規定に変わることもあります。

「…しなければならない」は、守らないと罰則があると覚えておきましょう。

労働基準法1条「労働条件の原則」第1条はその法律の目的条文を明記 まとめ

  • 法律の第1条は「目的条文」と呼ばれる
  • 労働基準法の目的は、働く条件の最低条件を定めるということ
  • 労働基準法を理由に条件を下げてはいけない

労働基準法1条「労働条件の原則」社労士試験過去問と解説

条文だけでは、いまいち理解できないことが多いので、社労士試験の過去問で復習しましょう。
※答えは解答・解説を見る」▼を押して確認してください。

H25年出題 定義

労働基準法第1条にいう「労働条件」とは、賃金、労働時間、解雇、災害補償等の基本的な労働条件を指し、安全衛生、寄宿舎に関する条件は含まない。

出典:社労士過去問ランド
H27年出題 人たるに値する生活

労働基準法における労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を、充たすべきものでなければならないとしている。

出典:社労士過去問ランド
H28年出題 基本理念

労働基準法第1条は、労働保護法たる労働基準法の基本理念を宣明したものであって、本法各条の解釈にあたり基本観念として常に考慮されなければならない。

出典:社労士過去問ランド
H25年出題 労働条件の低下

労働基準法は労働条件の最低基準を定めたものであり、この最低基準が標準とならないように、同法は、この最低基準を理由として労働条件を低下させることを禁止し、その向上を図るように努めることを労働関係の当事者に義務づけている。

出典:社労士過去問ランド
この記事を書いた人
かんりにん

ブラック企業歴25年
「ブラック企業あるある」を反面教師に、法律を学べるかも!他の記事もヒマがあれば読んでください。

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