労働基準法の労働条件を下回る契約は無効「労働基準法違反の契約」

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労働基準法の労働条件を下回る契約は無効「労働基準法違反の契約」

会社に退職を申し出たら、「途中退職だから違約金を支払え!」など請求をしてくるブラック企業があります。他にも遅刻で罰金を給料から天引きするなど、会社側の一方的に都合のいい内容が、雇用契約書に記載されていることがあります。

入社時によく確認しなかったり、不利であることが分からないまま、雇用契約書に署名をしてしまう場合もあるでしょう。労働基準法13条では、「労働基準法の基準を下回る契約(労働契約・雇用契約)は、その部分について無効になる」と定めています。

労働基準法は「強行法規」

労働基準法は、たとえ本人が契約時に同意をしていたとしても、違法な部分については無効になる「強行法規」です。この記事では、労働基準法13条「労働基準法違反の契約」について、わかりやすく解説します。

強行規定とは
当事者の意思に左右されずに強制的に適用される規定のこと。

雇用契約書が無いのは違法か?

雇用契約書が無いから、ブラック企業なのでは?と言われることがあります。しかし、法律上は必ず作成しなければならないものではありません。ただし雇用契約書がなく、「労働条件の明示がない」場合には労働基準法違反となります。

ブラック企業では、法令違反の証拠を残さないために、書類などを作成・保存しない会社も多いので注意が必要です。ブラック企業では、「会社の慣習・ルール(上司の言うこと)>法律」です。

かんりにん

管理人は、ブラック企業歴25年・社労士試験を受けようと思ってのは10年前…。勉強がまったく捗らないときに考えたのが、
ブラック企業あるあると、法律を関連付けて記憶する!」勉強法です。
日々試行錯誤しながら、学習しております。

労働基準法13条「労働基準法違反の契約」条文

労働基準法違反の契約

この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。

出典:労働基準法 | e-Gov法令検索

(条文解説)
労働基準法は労働条件の最低基準を定めた法律であるため、それを下回るような約束(労働契約)は無効になります。労働契約そのものが無効になるというわけではなく、あくまで基準に達しない部分のみです。無効になった部分は、強制的に労働基準法で定められている基準になります。

労働基準法違反の契約「辞めるなら違約金」

ブラック・浄水器販売会社
営業部 新卒 チャッピー
座右の銘は「継続は力なり」

ブラック・浄水器販売会社
営業部長 M
座右の銘は「時は金なり」

チャッピー

通常の勤務時間とサービス残業が同じ時間であるため、退職したいと思います…

M部長

なにっ!まだ入社半年で辞めるだと!?
3年間の雇用契約だらか、契約期間終了までの2年半分を違約金として払ってもらうぞ!払えんのかーー?

チャッピー

そんな契約書ありましたか??

M部長

これだよっ!

「チャッピー」との雇用契約書

「やむをえない事情で、契約期間中に勤務継続が困難となった場合は、速やかにその旨申し出、指示を仰がなければならない。勤務終了時から契約期間終了時までの月数分の、平均給与の20%を支払うものとする。但し、甲(会社)が認めた場合は、この限りではない」

チャッピー

これは!…
私の署名ではありませんね…例え署名していたとしても違法な契約は無効かと。

M部長

ふふふ…合格だチャッピー、よくぞ見破った。来月から手当を1,000円つけてやろう、これからもしっかり仕事に励むんだ。

チャッピー

いや1,000円て…まったく心が動きません。

違約金を支払わせる雇用契約は、退職足止めの一つの手段です。会社側は、雇用契約の中途解約により、会社が被った実損害額を立証し、損害賠償を請求することは違法ではありません。

無効な雇用契約(労働契約)

他にも以下のような雇用契約(労働契約)は当然無効です。

  • 36協定(残業などについての労使協定)を締結していない長時間残業
  • 休憩時間、休日・休暇を与えない
  • 労働契約不履行(自己都合退職)に対し、違約金・賠償金を支払わせる

労働基準法13条「労働基準法違反の契約」まとめ

  • 労働基準法で定められた労働条件を下回る労働基準法違反の契約は、無効となる
  • 労働契約そのものが無効ではなく、基準に達しない部分のみ強制的に労働基準法で定められる基準になる
  • 労働基準法は、最低労働条件を定める強行法規である

労働基準法の定めた労働条件を下回る、労働者に不利となる場合は、無効になりますが、逆に有利な部分があれば、その部分は有効です。労働基準法と雇用契約を比べて、違いがある部分については労働者に有利な方が有効ということです。

労働基準法13条「労働基準法違反の契約」社労士試験過去問と解説

条文だけでは、いまいち理解できないことが多いので、社労士試験の過去問で復習しましょう。
※答えは解答・解説を見る」▼を押して確認してください。

H27年出題 無効

労働協約に定める基準に違反する労働契約の部分を無効とする労働組合法第16条とは異なり、労働基準法第13条は、労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とすると定めている。

出典:社労士過去問ランド

H25年出題 効果

労働基準法は、同法の定める基準に達しない労働条件を定める労働契約について、その部分を無効とするだけでなく、無効となった部分を同法所定の基準で補充することも定めている。

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