【ブラック企業の特徴】「みなし残業代」込の求人で給料を高く見せる

ブラック企業に入社してしまうと、心身共に疲れてしまい、辞めるのも大変です。入社する前にブラック企業を見分けるポイントの一つが、「みなし残業代」込みの求人で募集しているかどうかです。
転職活動の際、このような求人を見たことはありませんか?
給料20万円(みなし残業20時間込み)
給料35万円(みなし残業100時間込み)
みなし残業代込みの給料の会社がすべてではありませんが、ブラック企業である傾向が高いです。この記事では、その理由を説明していきます。中には、求人にはみなし残業代の記載をせずに、入社してわかる、更にブラックな会社もあります。
また、「みなし残業代」制度を、正しい運用で行っている会社もありますので、その制度導入の理由も併せて紹介します。面接の際に、導入理由を確認すれば、ブラック企業を回避できる確率が高くなります。
みなし残業代とは
みなし残業代とは、実際に残業をしたかどうかに関わらず、残業したものとみなして支払われる、固定残業代のことです。一般的には、この固定残業代を指すことが多いですが、みなし労働時間制に基づくみなし残業のことをいう場合もあります。
みなし残業時間制については、こちらの記事で確認して下さい。




みなし残業代込みにする理由
会社が「みなし残業代」制度を正当な理由で導入する場合と、ブラック企業が導入する場合を比較していきます。
正当な会社の理由
- 管理コスト削減のため
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多くの従業員がいる会社では、毎日の残業時間の確認・給与計算を行うことは多くの時間と手間がかかります。年間での残業時間の増減が少ない場合は、一律で固定残業代を支払った方が、管理コスト削減につながります。
実際の残業時間が、みなし残業時間を下回ったとしても、会社も従業員もそれぞれにメリットがあります。
- モチベーション維持のため
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全く同じ業務を、作業効率の高い従業員は定時内で終わらせ、効率の低い従業員が残業をして作業を終えた場合、仕事の成果は同じであるにも関わらず、残業代の有無で不公平感が生じます。
一律でみなし残業代を支払うことで、従業員間の不公平感が解消し、仕事に対するモチベーションが維持されます。
続いてブラック企業が制度を悪用する理由です。
ブラック企業が導入する理由
- 給料を高く見せる
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ブラック企業では、労働環境の悪さから従業員が定着せず、常に人出不足です。そのため常に求人を掲載し、大量採用をしなければなりません。みなし残業代を含むことで、給料を高く見せることができます。
冒頭の求人である、基本給20万円(みなし残業20時間込み)を実際に計算してみると、最低賃金レベルになります。
1日の所定労働:8時間、1カ月22日出勤の場合
8h×22日=176h/月間労働時間
時給換算すると約995円(残業代割増時:時給1,244円)
(176h×995円)+(20h×1,244円)=175,120円+24,880円=200,000円みなし残業代以外にも、歩合給の部分を含ませ、給料を高く見せる求人があります。
歩合給を含んだ給料の例求人票に、給料25万円と記載があり営業として入社。実際には基本給はわずか15万円で、歩合給(インセンティブ)の平均額が10万円/月であった。歩合給は頑張っても5万円/月程度で、10万円/月の平均額も怪しい。
- 残業代を支払わないため
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みなし残業制を導入していても、超過した残業代は支払わなければなりません。ブラック企業は、みなし残業代込みだからとの理由で、いくら働いても追加の残業代を支払いません。
また、「基本給には、固定割増賃金として、法定労働時間を超える労働30時間分の残業手当を含む。」といった、給料のうちの何円分が残業代なのかが明記されていない場合、みなし残業代制が認められないという判例もあります。
あわせて読みたいこのような場合は、本来の残業代の支払いが会社に命じられることになります。
時給計算すると最低賃金を下回る




ブラック・浄水器販売会社
営業部 新卒 チャッピー
「だまして売る」ことに対する良心の呵責に苛まれる。




ブラック・浄水器販売会社
営業部長 M 「お前の代わりなんて、いくらでもいるんだよ!」が口癖。






先月残業は100時間を超えましたが、振込が16万円くらいでした…






わが社は無限のみなし残業代込みの給与だ!求人票にもちゃんと書いていたぞ!
求人には、
未経験大歓迎!新規事業拡大のため、大量募集!
給料20万円(みなし残業20時間込み)
と書いていた…






フォント小さっ!ブラック求人というか、サギ求人!
また、みなし残業代がいくらで、何時間分なのかが不明な場合もブラック企業の可能性がかなり高いです。罰則が無いのが原因ですが…
基本給:月給25万円(月給にみなし残業手当を含む)
※みなし残業分を超える割増賃金は別途支給
実際に入社してみると、長時間の残業を強いられ、時給計算で最低賃金を下回ります。
導入の場合、就業規則への明記も必要
求人の際だけではなく、みなし残業代込みの給与体系を採用する場合、従業員への周知と、金額・時間を明確に記載しなければなりません。
- 求人:月給25万円(45時間分のみなし残業代5万円を含む)
- 就業規則:
第〇条 残業手当は固定残業手当として、あらかじめ設定した時間(45時間)に対して支給し、実際の労働時間がこれを超えた場合は、法令に基づき割増賃金を加算して支給する。
「みなし残業代」込の求人で給料を高く見せる まとめ
- 「みなし残業代」込みの求人の会社は、ブラック企業の可能性が高い
- ブラック企業がみなし残業代込みにする理由は、
①給料を高く見せる
②固定残業代のみで上限無しの残業をさせる - みなし残業制でも、超過した残業代の支払いは免れないため、給与明細を確認する必要がある